北アルプス

白馬岳(大雪渓〜栂池)


平成18年7月28日〜30日(大魔王のみ31日まで)
参加:み隊長、エッケン副官、なお花大臣、はぎ食糧庁長官、ぺが歩荷斬込隊長、記録大魔王


7/28(金) 
 7月28日夜、我が本社(都庁)地下駐車場に集合。夜行バス「さわやか信州号」にて白馬に向けて出発予定。無事隊員6名は集合し、部長猊下が差し入れを持ってご来訪、差し入れをおいしくいただく。そんなこんなをして北稜隊は車中の人となる。
 しかし、この「さはやか信州号」という命名、何とかならないものだろうか。ただ信州n号とかしてくれた方が気持ちがいい。
 夜行バスの常で規格外の体格の自分は苦しい。夜行列車と違って床に寝るのも憚られるので前方の補助席を出して足を投げ出す。このまま行ければいいが時々停車して休憩するので面倒なこと夥しい。便利なのはいいが狭苦しいのでビジネスクラスの席を造ってくれるといいのだが。でも、呑み過ぎがないのと、自動的に目的地でたたき起こされるのは大きな不安を払拭してくれるので良い。


地下駐車場の部長猊下


「脛さらし」


7/29(土)
 文句を並べながらもほとんど熟睡して早朝、白馬(はくば)に到着。昔の信濃四ッ谷という駅名のままの方が風情があって良かったのに…せめて「しろうま」にしていただきたい。が、どうでもいいか。(ちなみに山梨の清里は昔は甲斐四ッ谷だった)駅前が狭いせいか近所の何とかホテルが終点。そこからちょっと歩いて白馬(はくば)駅。45分ほどバスの出発まで時間がある。いい加減なパッキングをなおしたり、帰りのあずさ回数券を買ったりして過ごす。ぺが斬込隊長は駅前の無愛想な親父のいる(いた?)そば屋でそばを食っていたようである。
 7:15に猿倉行きのバスが出発。醜いオリンピックの傷跡のジャンプ台などが見える道を通って程なく猿倉。天気のせいか人はさほど多くない印象である。

 ストレッチなどをして7:52白馬尻に向かって出発。歩きやすそうな道にわざわざ木で立派な階段が造ってある。人が多すぎで道を守るためだろうか。木立の中1時間弱で尻に到着。ここら辺から小雨。みんな雨具をつける。
 自分はそんなにまだひどくないだろうと思い、短パンTシャツのまま雨具の上衣だけを羽織る。ここから二十数年ぶりの大雪渓を拝む。

 前に来たときより(季節が早いせいもあるだろうが)雪渓は大きいような気がする。尻の小屋ではアイゼンをつけずに出発。つけるんならここでつけていった方がいいんじゃないかと思ったが、自分はあってもなくても変わらないと思うので隊長の指示を待つことにする。出発してすぐに雪渓にはいることになったので直前で荷物を下ろし軽アイゼンをつける。
 今回は運動靴ではなくて高級軽登山靴を履いているのでキックステップも快適である。(といってもキックステップが必要なところもほとんどないが…)冬山ハイキングの非常用にと何年か前に買った4本爪(5本爪?)の軽アイゼン初使用であるが、土踏まずの凹みの部分に入ってしまって効いているんだかいないんだかよくわからない。まあ冬山ハイキングで時折出てくる凍結部ではそれなりに使えるのではないだろうか。昔使っていたX字型の4本爪鍛造軽アイゼンの方がよくきくような気がする。
 皆さんは6本爪の立派な軽アイゼンを持っていらした。

猿倉を出発

衣笠草(キヌガサソウ)白馬尻付近


 ここで気づいたことはみんな、休憩地点に雪渓に岩や石がごろごろしているところを選んでいること。よりによって落石の危険がありそうなところに限って大勢の人が腰を下ろして休憩している。時間も早くさほど落ちてきそうもないので見張りながら休憩する。
 春の奥穂で見たヘルメット親父たちは今回は見なかったが、本来、メットをかぶるならこういうところに持ってきて被るべきだろう。登山指導員だかなんだかの人たちはしっかりメットを被っていた。自分も持っいたなら被っているところである。雪上での落石は音もなく飛んでくるので非常に怖い物である。

 霧雨が降ったりやんだりの中、大雪渓の様子も見え隠れし、葱平(ねぶかっぴら)に到着。昔は長い雪渓でだいぶ時間がかかったような気がするがあっけなく着いてしまった。
 葱平はその名の通り白馬浅葱(シロウマアサツキ)がそこら中に生えていて、思わずかじってみたい衝動に駆られるが周囲の手前遠慮する。近所の関西弁親父がしゃべっていたところによると関西の方では浅葱は食わないそうである。本当だろうか。

大雪渓登高

葱平付近


 ここでアイゼンをはずし、(自分は面倒だったし、上の方にもまだ雪がありそうなのではずさないでそのまま歩いた)稜線に向かう。このあたりから高山植物が姿を見せてくれはじめた。車百合(クルマユリ…コオニユリかと思った)や深山苧環(ミヤマオダマキ)岩黄耆(イワオウギ…シロウマオウギかも)などが咲いている。

 高山植物など、中高生の時に凝っていていろいろと調べたが、十数年の間すっかり忘れていた。でも見ているうちに思い出してくるのは不思議である。下山する頃には人に説明までしていて我ながらびっくりした。
 
 稜線に出る前に雪田を横切るところがあり再びアイゼンをつける。自分は履きっぱなしだったのでそのまま。特に必要とも思われなかったがわざわざはずすこともないのでそのまま待って雪田を渡る。渡り終わりアイゼンを外しそろそろ稜線で雨も本格的になったので雨具のズボンもはくことにする。皆さんはこまめに雨具を脱いだり着たりしている。

 雨具を着ての稜線歩きが楽しい。風も雨も強くなくて雨に濡れた花たちを見ながら至福の気分で歩く。雨のため写真機はザックにしまってしまったが雨の中の花は本当に美しい。

車百合(クルマユリ)、
四葉塩竃(ヨツバシオガマ)等

隊長の足に注目


 テン場につき、雨の中の設営。みるみるうちに巨大天幕が立ち上がって快適な空間へ。以前来たときは家型テントを張ったことを思い出す。
 
 天幕の中にはいると恒例のおいしい水がどこからともなく湧き出し、早速味わう。はぎ食糧庁長官による魚肉ソーセージカレーに舌鼓を打ち、呑みすぎることもなく就寝。みんな寝袋とエアマットを持ってきていた。
 
7/30(日)
 朝、寝坊することもなくぼちぼち起き出す。
 テントを出ると上天気。上方には雲一つない快晴である。足下には雲海が広がる。願ってもいない天気である。今日は朝から三脚を出して歩く。最初は杖のように持っていたがすぐにうっとおしくなったのでザックの腰に下げて歩く。
 テン場を出てすぐに山頂直下の「白馬巨大ホテル」が見えてくる。あんなもの山の上に造ってはいけないと思う。本当に巨大である。
 

大雲海

白馬巨大ホテルに向かって


 ぼちぼちと中高年の団体さんたちが現れ始め、白馬山頂は人があふれていた。
 さすがに頂上からの眺望はすばらしく雲海に浮かぶ島のように山々が見える。ぼおっと景色を見ているとシャッターを押してくれと頼まれるので記念写真を撮って退散。小蓮華に向かう。
 新田次郎の強力伝で有名な展望板も昔見たときより小さい印象である。しかしあれを背負って登るというのはただごとではない。
 


白馬岳山頂記念写真


得撫草(ウルップソウ)


 益軒先生ご執心の得撫草(ウルップソウ)をはじめ各種様々な高山植物が咲き乱れる稜線を写真を撮影しながらのんびりと歩く。稜線は起伏も少なく極楽極楽。ただ人が多いのが難点。団体さんなどは花の名前をああだこうだ言いながら歩いている。この辺になるとだいぶ花の名前なども思い出してきて聞かれると花の講釈などたれながら歩く。駒草(コマクサ)の人気は絶大なようでコマクサはないんですかねえなどと聞く方が多い。もう少し行くと砂礫地になってそこら辺にありますよなどと答える。

深山兜(ミヤマカブト)ぢゃないです

珍しい一緒に生えてる駒草と岩爪草、小岩鏡

 某隊長殿は深山鍬形(ミヤマクワガタ)を見て「あっ、ミヤマカブト」とおっしゃっていた。鍬形もカブトの部品であるからあながちはずれとは言えないだろう。
 
 小蓮華岳を越えて白馬大池に下る。池が見えるあたりになると白山石楠花(ハクサンシャクナゲ)、白山小桜(ハクサンコザクラ)、立山竜胆(タテヤマリンドウ)などが目立つようになる。駒草が、他の花と混成している珍しいところも見られた。
 

白山石楠花(ハクサンシャクナゲ)

立山竜胆(タテヤマリンドウ)

白山小桜(ハクサンコザクラ)

深山東菊(ミヤマアズマギク)


 一気に大池まで下る。開けていてとても気持ちのいいところ。池畔は平坦でテントを張るところも絶好の条件である。
 お花畑の中の快適なテン場。自分はここにテントを張ることにする。
 皆様は大休止。昨日の悪天でぬれた各装備を日干しにする。
 
 稚児車(チングルマ)と小岩鏡(コイワカガミ)、青ノ栂桜(アオノツガザクラ)が寄り添って咲いている近くをサイトに定め自前のテントを張る。
 好天のため装備はみるみる乾き、大休止を終えた皆様とうらやましがられながらここでお別れ。出発を見送る。皆様がいる間は自粛していたビールをすぐに買いに行き一気に1リットルあおる。
 
 人心地着いた後は大池の周囲を写真機一式を持って散歩。裏白七竈(ウラジロナナカマド)がきれいに咲いている。
 テントの横にウレタンマットを持ち出し横になりながら一杯やる。益軒大人の置きみやげはあっという間に底をつき、最高の景色の中極楽を堪能する。そのうち昼も近くなったので昼食。α米を食す。食料も豊富なのでもう一袋食べる。


白馬大池


虫干し エスパースのジャンボとソロ


裏白七竈(ウラジロナナカマド)


逆さ乗鞍

 
 また、小屋には実にいろいろな物が売っていてうれしくなる。缶酎ハイやらラーメンやら小屋とテントを往復するようにしてどんどん金がなくなっていく。帰りの切符は持っているので安心であるがこのままでは小屋に尻の毛までむしられてしまう…(って悪いのは自分である)
 午睡も気持ちよかったが、起きて風景を肴に呑む方がさらに気持ちがよい。
 すっかり酔っぱらい親爺になって至福の午後を過ごすことができた。
 
 早くからできあがっていたせいで日没前に夕食をすませ、ほぼ日没と同時に入眠。雪田からの冷気で多少冷えたようだが朝まで熟睡する。寝袋を持ってきて良かった。
 
7/31(月)
 早朝起きて、昨晩、食料を食い尽くしてしまったことを悟る。残っているのは予備用のレーションのみになってしまった。小屋もあるし何とかなるだろうと思ったが、昨日の浪費のせいで軍資金も心許ない。何よりも飲み物がなくなってしまったことに意欲を削がれ、後ろ髪を引かれる思いで(もっともひかれるような後ろ髪もないが)下山することにする。せっかくの休みなのに大失態である。
 のんびりとお茶を飲んで出発。大池畔のゴーロ、のんびり歩こうと思っても自然と跳んでしまう。走るようなスピードに家族連れがびっくりしていた。快調にとばすとすぐに眺望が開け、景色を堪能しつつ歩く。しばらく気持ちのいい岩礫帯、乗鞍岳を歩き一気に下りに入る。
 
 下りはじめると程なく雪田が現れる。アイゼンはあってもなくても変わらないのでザックの底にしまってしまったので、キックステップでがしがし走る。運動靴ではないのでキックステップも楽である。雪田の横断の後も雪上の下りがあり、ロープが張ってある。このロープがじゃまくさくて一度踏んで尻餅をついてしまった。情けない。


黄花石楠花(キバナシャクナゲ)


 向こう岸の上の方に石楠花のような物が見えたので登ってみると黄花石楠花(キバナシャクナゲ)であった。そんなこんなしていると夫婦連れから声をかけられた。自分が下る様子をあきれながら見ていたそうである。アイゼンを持っていないけれども大丈夫でしょうかと聞かれたのだが、馴れてる者にとっては何でもないが雪になれていない者にとっては下りが大変だろう。雪になれていないのならやめた方がいいでしょうと答えて下る。
 


桧扇菖蒲(ヒオウギアヤメ)


綿菅(ワタスゲ)


天狗原


 途中、「何でそんなに急いでいるんですか?」と聞かれるが、別にいつも通りで急いでいるわけでもないので「癖です」と答えて下る。あっという間にロープウェイの駅に着く。ビールを買って呑む。暑いので大変にうまい。
 切符売り場で荷物の重量を量ると19kgほどあった。
 
 ロープウェイ下りの客は自分ひとりだけでガイドのおねーちゃんと世間話などしながら下る。


 しばらくのブランクがあってこの冬からぼちぼちリハビリがてら山に行っているが、だいぶ体力も戻ってきているようである。夏山縦走も久しぶりであったが夏山の楽しさを存分に味わった山行であった。
 
 すばらしい山行をありがとうございました。
 


※文中の写真の植物の名前等、いい加減な記憶で書いたので、正式には図鑑などで調べてください。間違いのご指摘も歓迎します。


H18.8

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