大型連休 奥穂高の不思議
日程:平成18年5月3日〜5日
参加:忍者、大魔王、みき、ぺが斬込隊長、ニさん
5月3日 はれ
上高地6:10−明神7:00−徳沢8:20−横尾9:40−涸沢13:30(CS)
5月4日 はれ
涸沢6:35−穂高岳山荘8:35−奥穂高岳9:50−穂高岳山荘11:30−涸沢12:40(CS)
5月5日 はれ
涸沢6:40−横尾山荘8:25−徳沢9:30−明神10:35−河童橋11:25
記録:
平成18年の5月の連休、GWとしては非常に久しぶりに人気のある一般コースに出かけた。
上高地から涸沢に入り奥穂高に行ったのであるが相変わらず人だらけであった。上高地から涸沢まで延々とゆっくりした行列が続いていて歩きにくいことおびただしかった。
それよりびっくりしたのは不思議な人々が非常に多かったこと。こちらの方が非常識なのではないかと思えるくらいに旧来の常識からすると理解できない人々だらけであった。
「久しぶりのGWの北ア稜線、非常に奇っ怪な人々が大量発生していてびっくり。これでは理解できない遭難が多発するのもうなづける。勘弁してよ、てぇ人がいっぱい。」と帰りのバスの中で山岳会の掲示板に携帯電話から思わず書き込んでしまうくらいショックであった。
コース自体非常に有名なのでびっくりしたことについて書く。
不思議その1
上高地から妙にヘルメットをぶら下げて歩いている方々が多い。へぇ、結構バリエーションにいく人も多いんだなどと思うが、よく見るとどうもそうではないらしい装備の人が多い。

一般縦走路のどう見ても落石の心配などないところでもかぶって歩いている。
持っている以上かぶって歩いていた方がいいに決まっているのだが、そこでかぶってるより梓川沿いの道や稜線までの方が落石多そうだぞ(落石ではないが実際に同行のおねーちゃんは徳沢付近で頭から流血した)。
転倒や衝突に備えて被るんなら歩き始めからずっと被っていた方がいいだろうに。
メットをかぶって稜線をあるくことがある種のステータスになっているような感じである。
妙な方になると軽アイゼンにメット姿なんて言う人もいらっしゃった。メットを買う金があったらきちんとしたアイゼンを買って練習したほうがよっぽど安全だ。この時期の3000mは軽アイゼンでは危険だと思うのだが… 無雪期のロングスパッツの流行や杖の常用、死につながるザックカバーなど無用な装備を流行させて金を儲けようという山道具屋の次なる陰謀かも知れない。
みんな真新しい高そうなメットをかぶってるけど作業服屋で売ってる千円くらいのメットでも必要なら十分に機能しますよ。自分の学生時代は工事用ヘルメットでどこにでも行ったものだ。つい数年前までも工事用ヘルメットを実際に使っていたが、落石や岩への衝突などあったがまだ事故も起こさず無事に生きている。
不思議その2
白出のコルから奥穂への登り。ここは変な人の巣窟であった。間隔を開けないで岩場や急斜面を行列するのが最近の常識らしい。前述のメットは前後の人のアイゼンから頭を守るためのものだったのか!? 従来の感覚で間を開けていようものなら反対の方から無理矢理隙間に人がやってくる。ここは渋滞中の高速ではない。墜ちて死にますよ。それはあなたの勝手だけど、人を墜とさないでほしい。
また、待てない人が多い。無理矢理渋滞の横を悪いバランスの歩きですれ違ったり、「降りたいから道を譲れ」などと怒鳴りながら降りてくるやつまでいる始末。我々のパーティーは最若年層であるから、年長者の行動を見習うべきなのであろうが、見習っていたのでは命がいくつあっても足りない。
春の寒くない時期でこれである。待つのが厳しい冬季ならどうなることだろう。
不思議その3
ハーネスにガチャつけて(さすがにアンザイレンはしてないが)雪の斜面を降りてくる一団。人通りが多いので斜面は若干急であるが足下は階段状になっている。そんなところを斜面にへばりついて下ってくる。アイゼンの爪なんぞ一本たりとも効いていない。しかも10人近いパーティーのほとんどの連中が似たり寄ったりのテク。
そんな格好してるからにはそれなりの所を通ってきたんだろう?どれだけ他のパーティーに迷惑をかけてきたんだ?稜線の狭いところで出会わなくてよかったのが幸いである。
ちゃんと歩けるようになってから来なさい。
不思議その4
最近はピッケルの長いやつがまた流行ってきているようだ。妙に長いピッケルを持っている方々が多い。自分より2〜30cmほど身長の低い方々がみたところ80cm近い長さのピッケルを金剛杖(ちょっと大げさに言い過ぎか)のようについて歩いている。
手入れなど全くしていないような枯れ枝のようなウッドシャフトのピッケルを持っている方もちらほら。真剣に使ったら折れるのではないかというような代物に見える。マナスル登頂の頃のブームの時に買ってそのまま物置にでもしまっておいたのだろう。
自分のウッドシャフトのバイルやわかんなどは手入れをしているだけで楽しいし、使うときに使い物にならなくなるので常に亜麻仁油を塗って磨いている。
自分は長いピッケルが好きなので長いピッケルを持つのはいいのであるが、皆さん最近流行の杖(2本)まで持っていらっしゃるようである。ステップカッティングやホールド探しの雪払いなどするわけでもないだろうに、それなら短いピッケルの方が邪魔にならなくていいだろう。短くなくても普通の長さのものでいいと思う。杖代わりに使うのならば本物の杖を持っているのだから。
きっと、枯れ枝ピッケルの持ち主の「ベテラン」がそそのかして山仲間の配下に長いのを買わせているに違いない。使い方をよく考えて用途にあった道具を使うようにした方がよいと思う。
不思議その5
アイゼンをはずして足を滑らせながら下っているときのこと。(グリセードが決まれば格好いいのだろうが元々下手な上に長年のブランクと短いピッケルのせいで所々しか決まらない)軽アイゼンをつけている下っている方々が、自分が追い抜いていくときに、
「おお、すげえノーアイゼンで下ってる」
とおっしゃった。あんたたちだって軽アイゼンだろうが。第一、ここでアイゼンはいらん。んなモノつけていた日にゃ団子落としに忙しくて仕方ないだろう(あたしのアイゼンにアンチスノープレートなんてぇ重いものはつけてない)。
雪質に応じて歩き方は変えた方が楽で安全ですよ。
不思議その6
某Nさんのお友達で見るからに「お○く」といった感じの体型、風貌の人と呑んだ。非常に珍しかった。(これは別に非難しているわけではない)単に非常に感動しただけである。
不思議その7
噂に聞いていた数珠繋ぎザイル軍団を見た。一軍団だけではなかった。ガイドを先頭に歩いていたが、どういう技術を持ったガイドなのだろう。是非教えていただきたい。が、なるべく関わり合いになりたくはないモノである。
稜線でロープを出しているパーティーもちらほら。小屋にいた県警の人たちも指さして笑っているくらい不可解な技を繰り出していた。県警の方々、笑ってる場合ではない。ああいう人たちの後のお世話をしなくてはならないのがあなた達でしょ。でもその気持ちよくわかる。我々も見て呆気にとられていた。ザイルの使い方も勉強しましょう。
不思議その8
かの東邦航空のヘリが飛び回っているのを何度も見た。県警のヘリも飛んでいたが、民間のヘリが飛んでるってことは誰かがチャーターしたのだろう。死亡事故や重大事故の起こった話も聞かないので何者かが涸沢まで呼びつけたに違いない。
ぶんぶん飛び回っていたのでたぶん裕福なお年寄りがタクシー代わりに使っていたのだろう。推測だけでものを言うのはいけないと思うのだが、あまりに飛びすぎでうるさい。雪崩誘発の危険もあるのではないか?
不思議その…
まだあるがいつまで書いていてもきりがない。春山だからといってちょっとお気軽にすぎるのではないだろうか、そういう人たちが列をなして(比喩ではない。本当に行列している)歩いているのである。そこは3000mの雪山である。
この調子の人々が増殖しているのであれば、昨今の不可解な遭難も起こるべくして起こっているものだという気もする。
今回異常な好天に恵まれたのでよかったがちょっとでも吹いたり、気温が高かったりしたら大量遭難の可能性は十分にあったと思う。(実際今年のGWは初歩的な事故が多かったようである)
未組織の登山者に対して登山用具店は妙なものばかり売りつけてないで行くな、といってほしい。まあ、言ったって聞かないか。昔の山道具屋にはおっかないニイさんやらオヤジやらがいたものだが…
我々のパーティにしてもアクシデントはあったのだが、僥倖と知らずに帰る人たちより遙かにマシだろうと思う。